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GoldLink 『HARAM!』を聴き終え

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 GoldLinkがニューアルバム『HARAM!』をリリースした。2019年の『Diaspora』に続き、今作も彼らしく、混ざった音楽が展開されていく。今作は前作までと比べ、GoldLinkの声を歪ませている曲が多い。意図的なアプローチだが、ここまで多用する必要性は感じられない。客演のシンガーには、この手法が適用されていない事から想像するに、単にGoldLink自身がこの音を気に入ったから多用したのだろう。この手のアプローチは、ヒップホップにおいて珍しい事ではないし、表現としての歪みはまだまだ可能性に満ちている。しかしながら『HARAM!』に関しては、あまり良いものとは感じられなかった。声単体としてあの音は素敵だが、曲として考えると、音が乖離している様に思えて仕方なかった。ほとんど文句のない部類の作品だった故に、この歪んだラップが気になってしまう。

 『HARAM!』を聴いていて、思い出した事がある。XXXTENTACIONのアルバム『17』を最初に聴いた時、酷くノイジーに思えた。のちにその良さを理解する訳だが、当時のリアルタイムの所感はそうだった。だから今私が『HARAM!』に感じた違和感は、大事にとって置こうと思う。“気持ち悪いものを気持ち悪いと片付けてしまえばそこに若さはない” この言葉の通り、その違和感を楽しんでいきたい。慣れた時に聴こえる音は、初めての音とは違って聴こえるだろう。